もうすぐ冬休みだ!,テーマ「環境問題について」

Ⅰ 大気汚染と健康

(1)大気汚染の原因と健康影響

①工場の排煙による大気汚染
・1960年頃から1970年前半まで
・化学工場や火力発電所で化石燃料が大量に燃焼される。
・化石燃料とは,石油,石炭,を示す、
・大気汚染物質が呼吸器系の病気を発症させる。
・大気汚染物質とは,二酸化硫黄,を示す。
・呼吸系の病気とは,慢性管支炎,気管支ぜんそく,を示す。
・激しい健康被害の一例としては,四日市ぜんそく,が挙げられる。
・対策としては,排煙から硫黄分を取り除く装置の開発や法の規制が進む。
・1967年には公害対策基本法が制定される。
・1968年には大気汚染防止法が制定される。

②自動車排出ガスによる大気汚染
・大都市では自動車の排出ガスによる大気汚染がある。
・排気ガスに含まれる物質は,窒素酸化物,炭化水素,等が挙げられる。
・排出ガスが呼吸器に入り,気道を刺激,気管支や肺にがんを発生させる。
・光化学オキシダンは光化学スモッグの原因となる。
・光化学スモッグは,目やのどに刺激を与えたり,息苦しくなる症状を与える。
・浮遊粒子状物質はディーゼル車から排出される。
・浮遊粒子状物質はSPMと呼ばれる。
・浮遊粒子状物質のうち大きさ0.01mm以下ものをSPMという。
・SPMは,肺気腫,肺がん,スギ花粉症の発症や悪化,アレルギー性疾患,を引き起こす。
・肺気腫とは,肺胞と肺胞を隔てる壁が壊される病気である。
・対策としては,SPM排出基準の厳格化,不適合自動車の通行規制,等が挙げられる。
・排出ガスそのものを減らす自動車として,ハイブリッド車,電気自動車,水素自動車,がある。

(2)大気にかかわる地球規模の問題

① 地球温暖化
・化石燃料の大量消費,大量燃焼により二酸化炭素が多く発生する。
・二酸化炭素を温室効果ガスという。
・温室効果ガスの中にはメタンもある。
・温室効果ガスは地球温暖化の原因となる。
・温暖化により感染症を媒介する生物や病原体の分布が変わる。
・熱帯地方の感染症がわが国でも流行る可能性がある。

② 酸性雨
・化石燃料の燃焼によって硫黄酸化物や窒素酸化物が発生する。
・硫黄酸化物や窒素酸化物が大気中の水分と反応して酸性度の強い雨が降る。
・酸性度の強い雨を酸性雨という。
・酸性雨により湖沼が酸性化し,魚が住めなくなる。

③ オゾン層の破壊
・オゾン層は地球を覆っており,人体に有害な紫外線が地球に届くのを防いでいる。
・大気中に放出されたフロンなどにより,オゾン層が破壊されている。
・フロンはエアコンの冷却材や工業製品の洗浄剤などに使われており気化しやすい。
・紫外線により皮膚がんや白内障が増える。
・白内障とは,目の中の水晶体が濁り,ものが見えなくなる病気。

Ⅱ 水質汚濁,土壌汚染と健康

(1)水質汚濁とその健康影響

①産業排水による水質汚濁
・有害物質としては,メチル水銀,PCB,シアン,などがある。
・産業排水が適切に処理されないまま放流され,水域を汚し,健康に影響を及ぼした。
・メチル水銀が水俣病という健康被害をもたらした。
・法律で工場排水の基準値を定める。
・政府は設備改善のための財政支援を行っている。

②生活排水による水質汚濁
・水質汚濁の原因は,生活排水です。
・生活排水に含まれる有機物が適切に処理されずに河川などに放流されると富栄養化が起きる。
・富栄養化が進むと,アオコ,赤潮,が発生し生活環境を悪化させる。
・富栄養化とは,水性植物やプランクトンが異常繁殖する現象の一種である。
・アオコは淡水に青く生じる。
・赤潮は海水に赤く生じる。
・水道水に異臭味が生じる。
・水道水の消毒に用いられる塩素と結合して,発がん性が疑われるトリハロメタンが発生する。

(2)土壌汚染とその健康影響

①貴金属などによる土壌汚染
・カドミウムやヒ素などの有機物質は,金属鉱山や精錬所から排水・土砂・粉じん等に混じり排出された。
・カドミウムを含む農作物を食べると腎臓がおかされてイタイイタイ病になる。
・イタイイタイ病は骨が折れやすい病気です。

②こんにちの土壌汚染
・工場跡地からヒ素や六価クロムなどの有害物質が検出される。
・工場から排出されたトリクロロエチレンが地下水を汚染する。
・トリクロロエチレンは金属部品の脱脂洗浄などに用いられる有機塩素系溶剤である。
・ハイテク汚染は,発がんや神経系への影響が懸念される。

(3)大気汚染,水質汚濁,土壌汚染のかかわり

・環境汚染は,大気,水,土壌それぞれが密接に関連しあって広範囲に及ぶ。
・ダイオキシンは,大気,水,土壌にまたがり複合的に環境を汚染します。
・ダイオキシンは毒性の非常に強い有機塩素系の物質である。

Ⅲ 健康被害の防止と環境対策

(1)環境汚染の防止とその対策

① 環境汚染を防ぐ対策
・環境被害を防止する基本は,環境汚染物質をできるだけ出さない,ということです。
・ソーラーシステムの開発,ハイブリッド車や電気自動車を普及させる。
・環境基本法により排出基準を設ける。
・化石燃料の燃焼にともない大気汚染物質が発生するため,それを抑える工夫がされている。

② 社会と個人とのかかわり
・環境汚染とは,公害を意味するものと考えられていた。
・大量生産,大量消費,大量廃棄,といった社会のしくみも環境汚染の一因となる。
・「私たちが加害者でもあり被害者でもある」という構図に変化してきている。
・節電タイプの家電製品を買う。
・できるだけ自家用車を使わない。
・低燃費の自動車を購入する。
・省エネや低燃費に配慮した商品の開発や購入を促す制度を整備する。
・「環境にやさしい」ライフスタイルを選択する。

(2)産業廃棄物の処理と健康

・産業廃棄物の適切な処理も重要です。
・産業廃棄物処理法で事業者に適切に処理をする責任を負わせています。
・産業廃棄物処理法の正式名称は,廃棄物の処理及び清掃に関する法律,という。
・有害物質を含む産業廃棄物や医療廃棄物は,法律で特別な処理が義務付けられている。
・不適切な処理にともなう有害物質による環境汚染や不法投棄が問題となっている。
・最終処分場の残余年数は全国平均で約13年である。

Ⅳ 過去の公害から学ぶ環境問題

① 四日市ぜんそく(大気汚染の例)
・1959年頃,三重県四日市市で発生する。
・石油化学コンビナートの排煙により,呼吸器系の病気で死ぬ人が増えた。
・排煙には二酸化硫黄が含まれている。
・自浄作用とは,少しならば汚染物質は拡散する,という作用。
・自浄作用にも限界があり健康被害をもたらした。
・国が法的規制を行い,脱硫装置の設置を義務づけた。

② 水俣病(水質汚濁の例)
水俣病
・1956年頃,熊本県の水俣湾沿岸地域で発生する。
・食物連鎖の過程で有害物質(メチル水銀)が凝縮
・水俣湾の魚を食べた人間がメチル水銀中毒特有の症状があらわれる。
新潟水俣病
・1965年頃,新潟県の阿賀野川の下流域で発生する。
・河口から60km離れた工場から流れでた有機水銀を含む廃液が原因である。
・熊本水俣病の経験や教訓が生かされなかった。

③ イタイイタイ病(土壌汚染の例)
・1950年頃,富山県神通川流域で発生する。
・カドミウムを含む汚染水が水田に侵入して土壌を汚染する。
・腎臓機能をおかしくなり,骨軟化症(骨が折れやすい)が発症する。
・正式見解が発表されるまでに13年かかった(1955年から1968年)。

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