トツゲキ人生「解明」

、、、とは言っても家庭教師を一人ぼっちで始めた時からパソコンという代物を持っているはずがない。仮にもし手元にあっても節約をしなくちゃいけなかった背景の折にバイバイ対象(売買?)となっていたのは言うまでもない。とりあえずドコに行けばパソコンはあるのか!?、それすらサッパリだ。昔っから金のお掛かるモノや複雑なモノからは心身共に遠ざかっていた。最強に機械オンチだったからだ。VHS?、VHF?、よくは分からないがビデオの録画すらも出来ない。けれどもビクターが創ったモノである事は知っていた。加えて言うなればMDと言われるモノなんて一度も触れたことが無いままiPodやDVDの扱いにステップアップした。仕事に対しては全てが手書きで全てがアナログで、日頃の動き方から何もかもに至るまで昭和生まれ、携帯電波が届かない田舎生まれの性分が確実に染み付いている。挙げ句の果てにパソコンを買うという以前の資産力。吹けば吹き飛ぶ程度だ。お金があるからと言って嬉しそうに良い財布を買ってしまって入れるお金が無くなってしまうようなバカな真似もしたくない。でもパソコンが欲しい。欲しくて欲しくてたまらない。今もそうだが、欲しい、と思ったモノはスグにでも手に入れたくなる。そうでないと気が済まない。気が済まない気持ちが買いたい気持ちを上回る。そこで頭の中が複雑骨折するぐらいに考えた。考えて考えて考えて、そしてハッとした。

よしッ、とりあえず拾いに行ってみよう!!

落ちてるかもしれない。、という期待を持って、山に落ちてるのか海に落ちてるのか、その辺りをウロウロしまくった。ドコに落ちているものだろうか!?、とりあえず放り投げているゴミのようなモノでも良いのだ。とにかくパソコンと名のつくモノが必要だ。平成という時代は恐ろしいもので、比較的簡単に見付けるコトが出来た。信じられないかもしれないが実際には落ちていた。だからと言って、さすがに浜辺とか雑木林とかには落ちてはおらず、たまたま大ゴミの日に粗大ゴミの山々を嗅ぎ回っていたら見付けたのだ。よく考えるともう10年以上も前の話である。今考えるとアナログ過ぎる自分に笑えてしまうが、このキッカケは当初、想像していた以上に大きな力を宿してくれた。今や無くてはならない経験だ。ボッコボコに壊れたパソコンを目の前にしてご挨拶。そして車に常備していた車積工具を片手にフタを開けて1つ1つの部品をバラバラにした。今までに見た事も無いような部品ばかり。とてつもなく不思議な気持ちで紙と鉛筆とガムテを利用して設計図を書きながら分解した。これはまた後で組み立てるようにするためだ。丁寧に水洗いをして徹底的に干した。

ケースはアルミかプラスチックか、そんな不思議なモノだ。最初の印象は思ったよりも殺風景な感じ。バラバラにしたものの何が何だか分からないし誰に何を聞いて良いのかも途方に暮れて、とりあえずパソコン屋さんらしいと思うところを片っ端から攻めた。もちろん大手量販店も攻めた。とにかく電気のついているパソコンのありそうなところまで全てハシゴした。ボッコボコでバッラバラとなったパソコンらしい残骸をローソンのナイロン袋で持ち込んでくるのだから、そんなん持って来きてもらっても困る、というような表情を浮かべられながら持ち込んでは話を聞きまくった。そりゃぁ〜そうだ。ボッコボコでバッラバラのうえにボッロボロの容姿なのだから気持ちは分かる。作業着のまんまだった。間違いなく印象は良く無かったはずだが、典型的のB型の性分は健在だったようで気にも留めていなかった。そんなコトよりも目の前にある問題を解決したくて、解決したくて仕方が無かったので少しはスッキリ。これでもかぁ〜〜〜!!!、というぐらいに足を動かしたので結構、良い感じで理解出来てきた。さらに言うと動き回る途中、某ショップさんからセットアップの方法が書いてある簡単な冊子も頂いたのでラッキーだった。当時の私にとってはとてつもなく有り難かった。なんせセットアップという事すら知らなかったからだ。組み立ててボタンを押したら使えるぐらいにしか理解していなかった。棚から牡丹餅、というのはきっとこの事を言うんだろう。当初抱いていた1つ1つの問題を解決すべく1つ1つの部品の名前と用途と役割と繋がりを覚えることにした。記憶力は幸いにして20代前半の極みが功を奏した。

CPU、ハードディスク、メモリー、マザーボード、リモート、ピン、、、そうなんや!?、知らん事ばかりだが考えてみるとガンダムのプラモデルを組み立てるよりも単純なようだ。自分でも出来る、と軽はずみに思ってメモっといた紙とガムてを参考に元通り組み立ててみた。そして電源を入れてみると、どうだろう!?、電源が入るではないか!?、正直驚いた。まだまだ使えるやん、と思ったのも束の間。電源が入るにも関わらず、しばらくしてからプゥーーーーーーーーーーーッと言う雄叫び。驚いて即行、コンセントを抜いた。壊れていたのだ。やはりゴミはゴミなのか!?、再び途方に暮れた。暮れた。暮れた。くれた?!、そうだ!!!あのショップさんのところで相談してみようと考えた瞬間、パソコンを片手に再び訪れていた。もちろん閉店間際の間一髪状況。もうスグ仕事が終わる寸前だと言うのに一様の技術的なチェックを行ってくれただけでなく、アレやコレやと教えてもらった。時計は既に閉店から1時間も2時間も経過していたにも関わらず、とっても多くの知識を教授してもらった。ショップさんの心意気、そしてお力には感謝感激。言葉にはならない言葉で、、、

『○○さん!!僕は今ぜんぜんお金が無いんです。お礼も何も出来ない自分自身が情けなくて・・・ゴミみたいな人間がゴミを持ち込んで・・・迷惑しか掛けてません・・・時間も奪ってます・・・本当にごめんなさい・・・でも本当に本当に本当にアリガトウございます・・・』

気が付くと手や足が震えて目からは自然と涙が溢れていた。心の底から感謝していたのだ。ショップさんいわく、完全に目が据わっていたからネッ(笑)、という事だったが間違いなく良い意味でそれだけでは無かったように思う。そして結論が出た。 一先ず壊れたハードディスクと2枚あるウチの壊れたメモリー1枚を交換すれば復活するらしいので早速、部品を交換してもらうコトにした。実に奇跡的に近い状態でそれ以外は幸いにして無事だった。使えそうな中古のメモリーと個人情報を削除した中途半端に使えるハードディスクを財布の中身全部と交換した。確か3000円ぐらいだったはずだ。財布は空っぽになったけれど何だか心が満腹になり、久し振りに人の優しさに触れることが出来た。<つづく>