サバイバル1等賞「出願」

出願

いよいよサイは投げられた!!、オープンキャンパスに参加して、出願書類も手に入って、それから学校の三者面談も終わった、という知らせを耳にして早速、自分のスケジュールを確認した。

和田「お!?、今からでも伺えるやん。よし行こう!!」

必要な情報を入手した、と判明した途端に即時、連絡するのは私の性分。そんな時折に応じて基本的にはパパッと連絡をとるように心掛けている。ご自宅電話に繋がらなければ本人の携帯電話に繋げる。それでも繋がらなければ親御様の緊急電話に繋げる。それでも繋がらなければ再びご自宅電話に繋げてみる。それでも駄目ならばメールを入れる。既にその時には私自身もアクセルオン、ハンドルを握って伺い中。状況の優先度に応じて相手都合、自分都合、に関わらず動き出してしまうので、この動き方で失敗したことは数知れず。しかしながら比較的、成功した事例の方が山程多いので、やめられない動き方だ。幸いにして早いタイミングで連絡も繋がり伺わせて頂くことにokをもらった。いつも急な対応に本当に申し訳ない気持ちにはなるのだが、彼の笑顔と親御様の安堵を考えてしまうと、どうしても居ても立ってもいられなくなり、無我夢中。今後も根本的な姿勢そのものは変わらないだろう。

到着早々、彼と親御様と共に学校での三者面談の状況を確認させて頂いた。やはり溜め息の出るような面談であったことは健在なようだ。200%間違いなく当てにしてはいけない。これでは確実に落ちる。むしろ受験出来るのか!?、とも疑ってしまう。なぜなら学校の三者面談で出てきた出願書類群が2010年度受験生用のモノだからだ。おい!、おい!、彼は2012年度受験生だよ!、と発狂したくなる勢い。あのぉ〜〜〜2012年度受験生なんですがぁ〜〜〜ッ!、あぁ===もう===こんなヤリトリを想像するだけで身震いする。こんな三者面談は絶対に嫌やぁ===ッ(泣)、と広大な心の奥地で雄叫びが響き渡るように叫びたくなる気持ちで、いっぱいでした。確実にヤル気の無い三者面談、というよりもそれ以前に大きな大きな問題がある。教師として人間として、どうかしている。ほんまに散々な学校や。面談というよりも時間を潰しているだけにしか過ぎない。もっと質のある面談をして頂きたいものだ。人のせい、にばかりしているようにしか見えない。なんて大人気ないのだろうか!?

私ですら、翌々年度を踏まえた戦略を一人一人の子供達に対してシッカリと練っている。ただ時にはミスも生じるコトはある。けれども容易に改善の出来る状況にある。少なくとも機会点を失うような取り返しのつかない状況には至らない。先を見据えて構築しているからこそ、比較的余裕をもって日々の生活を過ごすことに繋がっているし、もし万一ミスが起きたとしても、即座に取り返しを付けることが出来る。たた困るだけで何もしないまま突っ立って取り返しのつかない状況に陥るようなことには決してならない。出願書類が手元にある、という以前に大凡の内容を頭の中に叩き込んでいる。これは余裕を得るための当たり前の諸業。子供の社会も大人の社会も同じく、勉強する、ということは、準備する、ということ。余裕が無いもの程、口しか動かさず連鎖の渦中に浮き沈みしているものだ。私にとっては出願前の書類の存在は、基本的に確認のために保存しているに過ぎない。恐らく社会一般としてはフツーーーーのコトだろう。ともかく、そんなつまらない三者面談も無事?に終えて、直ぐに帰宅して頂いた。若干、半強制的な状態なのだが・・・。そこで、お伺いさせて頂いた折にはシッカリと出願書類が揃っている。さすがは◎◎様だ。人生の大先輩として今後も様々な方面で勉強させて頂きたい。

和田「よし、やろう!!」

本人『え!?』

和田「時間あるか?」

本人『え、うん。でも何するん?』

和田「おまえ!、何言うてんねん!、出願書類を今日中に整えてまうんやないか〜〜!!」

本人『え!?、ええのん???』

和田「時間はある。やろうやないか!!!」

いよいよ小論文+αの始動だ。確かお昼過ぎぐらいの出来事だったように思う。 小論文と面接のそれぞれの特訓を行うための下準備と出願書類の準備を本日中に全て完了させてまうことにした。

まず最初に、、、

大学案内や各種資料、その他オープンキャンパス参加で得られた詳細と本人における将来の展望をとことんリサーチした。そのうえで、いろんな議論に繋げた。結局、自分は将来何をしたいのか、どんな人間に成長していきたいのか、大学に鍛えて欲しいことは何なのか、といった多くの議論や確認が交わされた。一言で申し上げると、ほとんどケンカのようなモノであって、言い合いそのモノ。互いに真剣だから無理もない。私は私で、絶対に合格させてやる!、彼は彼で、絶対に合格してやる!、という凄みがぶつかり合っている。これで、ようやく空っぽの頭の中と心の隅々に様々な情報を刷り込み、様々な種を植え付けることが出来た。そもそも空っぽでは良い内容なんて表現出来るはずがない。それを知らない者が多過ぎる。

次に、、、

文章力に磨きを掛ける為、手と頭を徹底的に動かした。書いては消して、消しては書いて、の繰り返し。Twitter程度の文章を創るのに大凡1、2時間も要する。本当に気の遠くなるような作業の連絡だった。この経緯を経て彼は、本当に読解力を養うということ、を学ぶことが出来たに違いない。これで文章に、自分自身の気持ちを乗せるための段取り、が整ったので次は、マネジメント、テクニック、アプローチ、という3種の神器を教授することにした。創造物を3カテゴリないしは4カテゴリに分けて、各カテゴリ内で、内容そのものをブラッシュアップさせる、というものだ。要するに温度差を注入する作業。実際に伝授の場では類希無いテクニックが注入される。これらを経て、全てのカテゴリ内の内容が大凡仕上がってきたら、どの順序で、どのような表現ニュアンスで、アプローチしていくかを煮詰めた。もちろん繋ぎ止めの節々にオモシロいスキームを反映させたのは言うまでもない。

そして最後に、、、、

いよいよココまで来れば、もう後一踏ん張りだ。要点チェックや誤字脱字が無いかを確認する必要がある。本来ならば日を変えて確認するのが通常のプロセスなのだが、時間的な猶予を考えると本日だけしかなかった。何度も何度も見返しては不思議な部分を探し出す。そしてまた何度も何度も見返してはさらに不思議な部分を探し出す。何度も何度も見返して、何度も何度も見返して、何度も何度も・・・、というように不思議な部分を探しながら不思議な気分になっていく。不思議な気分になってきたら気分転換をする。この作業の繰り返しだ。

そんな最中、少し休憩を挟ませて頂いた折、牛丼カレーをご馳走になった。五臓六腑に染み渡る美味さだ。そして気が付くと既に夕方で陽は沈みかけていた。まさか6、7時間ぐらいブッ通しで大凡、出来る限りの範囲を完了させたことは、本人としても始めた時は、思ってもみなかったことだろう。この機会と同時に、集中してヤリ遂げる、ということを教えることが出来たように思う。彼ばかりでなく私としても、めちゃくちゃヤリガイがあった。あぁ〜でもない、こぉ〜でもない、とたった数行程度の文章を煮詰めるだけで何時間ぐらい議論し合い、何時間ぐらい確認し合っただろうか!?

そんな状況を経てAO入試、公募制推薦入試、それぞれに大きな力を発揮する1コンテンツを仕上げることが出来ました。とてつもなく大変な作業でしたが彼自身、必死で取り組んでいました。志望動機を書く、小論文を書く、という大変さは本来、内容を創る、という大変さであったこと、を理解したはずです。このようにして戦略的かつ効率的に取り組むことで大きな効果を得られます。彼の中に備わる多くの意向を出来る限り反映させて、彼の漸進性を高めながら大きなベクトルとして築き上げました。

彼によって創り上げられた1コンテンツ。これがとっても大きな武器となります。私が注入適用したことは企業秘密の為、 絶対的厳守を約束に、いかなるノウハウも実践させて頂いた次第です。これで出願の準備が整いました。いよいよ来る日が来るのを待つばかりとなったワケです。

ただ予想もしなかった事態が待ち受けているとは、彼も私も、そして親御様も、想像していませんでした。本当に強烈だったんです。